最近、松田 亜有子著「クラシック音楽全史 ビジネスに効く世界の教養」
(ダイヤモンド社)を読みました。
音楽の専門書ではなく、気楽に通勤中などに読める
音楽の本を探していて、こちらの本を見つけ、
手に取りました。
読んでみると、思った通り、わかりやすい言葉で
クラシック音楽の始まりから現代までの音楽を
体系的に解説していて、音楽史について知識がない人でも
理解できる内容の本だと思いました。
そして、著者の経歴も興味深いと思いました。
詳しくは、こちらを参照ください。
こういった音楽の本は通常、音楽大学の教授や評論家が
書かれているものが殆どだと思います。
しかしながら、この本の著者は、
音楽を専門に学んだバックグラウンドがありながらも、
一般の会社で働いていた経験がある方です。
その経験から得た視点がこの本の内容に
生かされている部分もあり、
専門書とは違った魅力がある本だと思いました。
ところで、この本を読みつつ、
私自身の個人的な思いを強く
持った箇所がありました。
この本の中で「ベートーヴェン」に関する解説を読んだ時です。
ベートーヴェンは、20代後半から、難聴がすでにあり、
30代になるころは殆ど聴こえていなかったといわれています。
彼は、56歳で亡くなっていますので、ほぼ半分の人生は
耳に障害がある人生だったわけです。
また、耳のせいで、社会性がなくなり、
人間関係もうまくいかなかった
とも言われています。
当時は、補聴器なんてあるわけではないですし、
しかも、職業は、音楽家(作曲家)です。
私は子供の時に、
練習曲として、彼が作曲したソナチネ
やソナタを練習した記憶があり、
また、彼がそういった試練がある
生涯を過ごしていた
ということは知っていました。
しかしながら、大人になって、
多少大変なことも経験した現在の自分から、
再び彼の人生を思うと、彼の音楽的な面だけでなく、
彼が経験した苦難だった人生について、
感慨い深い思いが思わず溢れでてきました。
時代や境遇は全く違うのはわかっているのですが、
自分の人生と重ねてしまうというか…。
また、有名な「運命」は彼が34歳に作曲した曲です。
このような苦難の状況で、どのような思いで、
作曲したのかと
思いを馳せると胸が熱くなりました。
子供の時に弾いていた作曲家である
ベートーヴェンの生涯を、大人になった今
振り返ることは、
彼の音楽と人間性に深い尊敬の思いを
抱かせてくれました。
今回のはそんな思いを改めて持つ、
きっかけををくれたでした。
そのほかにも、余り知られていない音楽の起源から
解説が始まっているので、
音楽がどのように今まで展開され、
成長されてきたかの音楽史のダイナミズムも
感じられる本だと思います。
音楽史ビギナーにとって、
おすすめの本です。